
先日、社内食堂で数人のバイトとランチを食べながら雑談中に、ひょんな事から「年寄りがユーチューブを見出すとネトウヨになる」という話になり。
最初にその話題の口火を切った人は、政治に関心があるとは到底思えない、「ネトウヨ」と言う言葉もおそらく知らないだろうと思っていたバイトだっただけに、私もびっくり。
「ネトウヨ」とは「ネット右翼」の略で、ネットの情報だけを鵜呑みにして、中国・北朝鮮・韓国・外国人・左翼の悪口を言いふらす「にわかウヨク」の事です。従来の右翼との違いは、その浅薄さにあります。悪口を言う割には、本も碌に読まず、自説についても論理立てて説明出来ず、ひたすら他人の言説の受け売りだけ。
何故そんな人が増えてしまったのか?ユーチューブの動画をずっと見ていると、パソコンやスマホのAI(人工知能)が勝手に、その人好みの情報を優先的に集めて来る様になります。これは便利な機能で、例えば鉄道ファンの動画視聴者には、鉄道の撮影ポイントや各種イベントの情報などをどんどん教えてくれるようになります。
しかし政治がらみの話題になると、単純に便利だと喜んでばかりいられません。中国・北朝鮮(以下同文)…を良く思わない人が動画を見れば見るほど、AIの方でもネトウヨ好みの情報を集めて来る様になるからです。この現象をエコーチェンバー現象と言い、SNSなどの閉鎖的な空間でよく起こりがちだと言われています。情報産業も商売なので、そういう形で顧客に媚を売ろうとするのでしょう。
問題は視聴者です。情報産業も商売なので、視聴率が稼げるならどんなガセネタでも集めて来ます。その限界をわきまえた上で、ネットで情報収集すべきなのに、ネットに慣れていない高齢者は、ひたすらネットの情報だけを鵜呑みにしてしまう。その結果、耳障りの良い意見や、一見勇ましく実は極端な意見、陰謀論などに、いとも簡単になびいてしまうのです。
その為に、「実家に帰ったら親父やお袋、兄弟がネトウヨになってしまっていた」という事例があちこちで頻発する様になり、その挙句に、トランプや参政党などのキワ者たちが大手を振ってまかり通る様になってしまったのです。
今の米国大統領トランプがその典型です。あいつの主張なぞ、冷静に考えたらトンデモでしかありません。今までの大統領なら、「カナダやグリーランドも米国領だ」なぞと、いきなり言ったりはしませんでした。貿易関税の税率をいきなり数十パーセントも一方的に引き上げたりはしませんでした。
今までの慣習もルールも無視して、いきなり「俺様ルール」を押し付けて来る。そんなキチガイみたいな人間でも米国の大統領になれたのは、ひとえにガキみたいなユーチューバーのネトウヨが増殖してしまったからです。
思考が浅薄・幼稚なのは参政党も同じです。「選択的夫婦別姓は日本の伝統に反する、家族解体目指すサヨクの思う壺」と彼らは言うが、そもそも明治以前は百姓・町人には姓そのものがありませんでした。
戸籍(お寺の人別帳)もあるにはありましたが、それはあくまで年貢を取る為の物でしかなかった。飢饉などの際には口減らしの嬰児殺しも横行していました。
そんな中でも、子煩悩な親もおれば、親孝行な息子もいました。それだけの事です。別に戸籍があるから、同姓だから家族関係が保たれて来た訳ではありません。
そもそも、夫婦別姓に反対している自民党の高市早苗にしてからが、夫の山本拓(後に離婚)とは別姓でした。自分たちは別姓名乗りながら国民には同姓強要。その一事だけでも、選択的夫婦別姓反対論者の主張は支離滅裂。
参政党はその他の公約でも、有機農法やエコロジー(環境保護)推進を唱えながら、放射能や「核のゴミ」のプルトニウムを垂れ流す原発を推進していたりなど、主張が矛盾だらけで、とても信用出来ません。
環境保護運動も、大資本による乱開発に反対する点では、反資本主義の左翼とは仲良しですが、郷土の土地や文化を守るという点では、伝統保持の右翼とも仲良し。そういう点では、エコロジー推進の右翼がいても確かに不思議ではありませんが。
それでも、普段あれだけ郷土愛とか愛国心を強調しながら、自然破壊そのものの原発を推進するのは、自己矛盾も甚だしいと言わざるを得ません。
また、女性天皇の就任に反対している点も理解出来ません。過去には推古・持統など女性の天皇も何人もいたのに。
「日本人ファースト」「中国人による土地買い占め反対」を唱えながら、米軍の治外法権や沖縄・辺野古の米軍基地建設強行には賛成している点も、ご都合主義の最たるものです。
確かに、中国人による西成あいりん地区の違法民泊・低俗な居酒屋経営や、黒門市場の観光公害(オーバーツーリズム)には、私も頭に来ています。でも、これは中国人による弊害というよりも、むしろグローバリズムによる弊害と捉える方が、より事実に即していると思います。
何故なら、共産主義に凝り固まっていた昔の中国に、改革・開放政策による経済発展の利を説いたのは、他ならぬ欧米・日本の政府・財界だったのですから。中国は資本主義の悪い面だけを、欧米・日本から学んだのです。
この様に、少し考えただけでも、参政党の主張が矛盾だらけで、その場しのぎの出まかせでしかない事が分かります。彼らは一応「右派」に分類されるようですが、本当に「右派」なのか?私は疑問に思っています。
私自身は左派の人間なので、ブログ仲間にも左派の人が多いです。でも、少数ながら右派の人たちもいます。その右派の人たちでさえ、こんな参政党のような主張に、簡単になびくとは、とても思えないからです。
例えば三島由紀夫は、日本を代表する作家であると同時に、過激な右翼活動家でもあり、1970年には自衛隊本部に乗り込んで隊員にクーデターを呼びかけ、それが受け入れなかった為に割腹自決してしまうような人でしたが、そんな彼でも、自決の前年には単身、東大に乗り込み、新左翼の全共闘の学生を前に堂々と自説を述べ、学生たちと対話を試みました。
私は三島も全共闘も支持しませんが、この度量には感心します。受け売りの知識だけで、相手を罵倒するしか能のない今のネトウヨに、三島が試みたような対話なぞ到底出来ないでしょう。
実は参政党は右翼なんかではなく、単なる「ウヨクもどき」なんじゃないか。昔は左派の方が力が強かったが、今は右派の方が力が強い。その風潮の中で、機を見るに敏な奴らが、人気取りの為に、適当に右寄りな言説をオブラートに包んで語っているだけではないかと。

でも参政党、宣伝上手いからなあ。例えば、今度の参院選で参政党から「宮出ちさと」という女性が大阪選挙区で出ています。彼女の選挙ポスターには自分の名前以外には「行くで!やるで!宮出!」のキャッチと、「日本人ファースト」「これ以上、日本を壊すな」のスローガンしかありません。
このシンプルさと語調の良さが参政党ポスターの売りなのです。このキャッチなら、例えばバイト作業中に、景気付けの為に「行くで!やるで!宮出!」と口に出しても、全然違和感ないでしょう。
それを聞いて誰かがから「宮出って誰?」と聞かれても、「街で見かけた選挙ポスターに書いてあった」と答えれば、他の人も「へえー、どんなポスターだろう?」と、チラ見するかもしれない。
そうしたら、「日本人ファースト」「これ以上、日本を壊すな」とだけ書かれている。有権者にはこれだけで十分です。別に細々と書かなくても、ポスターに載っているQRコードを開けば、参政党の公約が見れますから。
それに対して他党のポスターは全体的に字数だけがやたら多く、目を引くキャッチコピーが全然ない。例えば共産党のポスターには「財源あります。消費税5%で年12万円の減税」とあります。
確かに、これで売りの公約は分かります。でも、文章が余りにも長過ぎて、とてもキャッチコピーにはならない。「行くで!やるで!宮出!」のような、簡単に口について出てくるような威勢の良い言葉が全然見当たらない。だから、受けが良いのは昔からの支持者だけで、無党派層には全然広まらない。
よく見れば参政党の公約は矛盾だらけ。ネトウヨの鎧が透けて見える。でも宣伝が上手いので、無党派層にはどんどん広まる。「投票したい政党がないので自分たちで政党作っちゃいました」と「手作り感」演出もバッチリで。宣伝手法はプロそのものなのに。まさに現代のナチスですね。